令和8年度 富士総合火力演習

― 現有装備品と将来装備品を組み合わせた演習 ―

 6月7日、東富士演習場にて68回目を迎える富士総合火力演習が実施された。当日は時折雨も降るなか、約3千人の自衛官、約50両の戦闘車両と約50門の火砲等が参加。
 今年の昼間演習は、装備品紹介と、島嶼部への敵の進行阻止における火力戦闘、攻勢の場における火力戦闘を展示する構成で、昨年度に引き続き、前段演習の途中からシナリオに基づく構成であった。本記事では、そのなかでも特に注目すべきポイントに絞って紹介する。最初の大きなポイントとして、装輪装甲車AMVが前段演習から登場し、RWS(遠隔操作武器システム)を搭載した状態で披露され、RWSによる射撃が行われた。次に、「将来装備品の紹介」では、上陸してくる敵舟艇などを攻撃する多目的誘導弾システム改、25式偵察警戒車、装輪装甲車(指揮通信型)が披露された。装輪装甲車については、今回披露されなかった派生型として、施設支援型・患者輸送型・兵站支援型の開発も進んでいる。さらに、各種UGV(無人車両)の偵察型・攻撃型・分隊支援型・歩行型も披露された。なお、歩行型以外のUGVについては装輪型と装軌型の両方で試験が行われているとのこと。後段演習の冒頭では、25式高速滑空弾の発射機が披露された。昨年度は弾薬運搬車のみの披露であったため、発射機の登場は大きな注目を集めた。これらの装備品は、防衛装備庁や開発実験団が過去に例を見ない速さで開発・試験を進めているものである。
 航空機関連では、V-22オスプレイ、UH-2多用途ヘリコプター、AH-1S対戦車ヘリコプターがその機動性を生かした飛行を披露。CH-47JA輸送ヘリコプターもエキストラクションロープによる隊員の卸下を実施。航空自衛隊のF-2戦闘機は雲の影響で訓練弾を投下できず、上空のフライパスのみとなった。また、第1空挺団の隊員による自由降下も、同じく雲の影響で残念ながら中止となり、映像紹介のみとなった。
 海外での実戦の教訓も反映されている。ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、照準補助装置を取り付けた小銃による対ドローン射撃が披露された。また、昨年度よりも本格的に構築された塹壕を使い、普通科隊員が塹壕を制圧する様子も披露され、年々進化する新たな知見が取り入れられていることが確認できた。
 今回の昼間演習は、陸・海・空各自衛隊の統合運用のもと、現有装備品と将来装備品を組み合わせた、万一の際の島嶼防衛の一端を垣間見ることができる内容であった。自衛隊がどのように作戦を遂行するのか、その方向性を感じさせる演習であり、「日本の新しい守り方」を象徴するものであった。

写真/文・桜川 航希氏 Xアカウント

タイミングの合った2両同時射撃を披露する16式機動戦闘車

タイミングの合った2両同時射撃を披露する16式機動戦闘車

 

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表紙写真:ローターからのベイパーを纏うV-22オスプレイ

表紙写真:ローターからのベイパーを纏うV-22オスプレイ

 

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